診察室でよく聞かれる質問にお答えします

 

1 インフルエンザ予防接種はいつ受けたら良いのか?

一般に不活化ワクチンの予防接種は免疫の効果が数年間持続するといわれています。たとえば、4種混合ワクチンや肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンなどがそうです。

インフルエンザワクチンも不活化ワクチンなので、接種後の効果持続期間は数年間と考えられます。接種後2週間から4週間で血液中の抗体価(インフルエンザ用の抗体の数)が上昇し、その抗体価が高い状態は3ヶ月から6ヶ月程度続きます。つまり半年もすれば血液中の抗体価は減ってしまうわけですが、体の記憶免疫細胞(メモリーT細胞といいます)が記憶してその後数年間はすぐに抗体が作れる状態を維持します。その期間を免疫がついている期間といいます。つまり、接種から半年以上経過しても免疫が完全に失われるわけではなく、ひとたびインフルエンザウィルスが体に侵入すると記憶免疫細胞が活性化して抗体を速やかにどっさり作り出す能力(免疫)は残ります。そのため、インフルエンザワクチンはなるべく早く接種した方がお得です。

それならば数年に1回の接種で良いかというと、そうではなくて、毎年接種した方が良いです。それは2つの理由からなります。1つは、流行するウィルスの型が毎年変化するからです。インフルエンザウィルスにはいくつかの種類があって、毎年流行するウィルスの型が変わります。そのため、今年の流行に合わせた、今年のワクチンを接種するほうがよいです。2つめは、前述の免疫細胞の記憶の話と関係しますが、以前と同じ型のワクチンでも、新たに接種すると、記憶免疫細胞が眠りから覚めて活性化します。活性化した免疫細胞はしばらく抗体を作り続けるので、ウィルスが侵入したときの反応がさらに早くなります。そのため毎年時期になったら、たとえ以前接種したことのある型のワクチンでも接種すると良いわけです。

 

 

2 インフルエンザ予防接種は何回受けたら良いのか?

インフルエンザ予防接種は、13歳未満は2週から4週の期間をあけて2回接種したほうがよいです。1回接種したあと、2-4週間程度期間をあけて再度接種すると、ブースター効果と言って、抗体の数が飛躍的に増えます。また、その後の免疫が持続する期間も長くなります。13才未満のお子さんに関しては生まれてからの経験年数が低いので自身の記憶免疫細胞のデータが少なく、生まれて初めてのウィルスの型に出会ってしまう可能性が高いです。そのため、2回接種して少しでも抗体価を高くして、かつ免疫の持続する期間を長くしようという作戦です。13才以上のお子さんと大人に関しては1回接種で良いそうです。年齢が上がれば、それだけ免疫細胞が経験したウィルスの型が増えますから、1回の接種でも以前の記憶免疫細胞が活性化して抗体が上昇しやすくなります。そのため13歳未満のお子様に比べて2回接種することで得られる効果ははっきりしません。65才以上の方は特に1回の接種で効果が期待できます。

 

3 インフルエンザ予防接種は効果あるのか?

効果はありますが限定的です。

発症を防ぐ効果と重症化を防ぐはおよそ60%程度と言われています。これは、ある集団200人を100人ずつに分けて、それぞれワクチン接種組、接種しない組とした場合、接種しない組では10人発症ないし重症化したとすると、接種した組ではそれが6人減って4人発症ないし重症化したということです。そのため、ワクチン打ったけどインフルエンザにかかった、という話が出てくるわけです。高齢者に限定した調査ではインフルエンザによる死亡に関してかなりの差が出ており、ワクチンを接種した組は80%も死亡数を減らしたそうです。つまり、絶対かからないわけではないが、肺炎など重症化するリスクや死亡のリスクはかなり減らすことができると言えます。それがインフルエンザ予防接種の個人に対しての効果です。